ウイルスは昨今、かなり派手に世界的な問題を巻き起こしていますので、興味のある方も多いのではないかと思います。
記憶に新しいのはSARSやトリインフルエンザです。そして映画「アウトブレイク」や小説「ホットゾーン」で話題になったエボラやマールブルグ。このように、感染力が強く、致死率の高いウイルス疾患について解説した本がこちらです。(時期的にSARSは含まれていません、かわりにウイルス疾患ではないけれどBSEも含んでいます)
様々なウイルスについて、感染の様子、感染時のパニックと医師や政府の対応、生物学的な解説がテンポよく、しかし過剰な演出もなく淡々となされており、スタンダードなノンフィクションながら、未知のウイルスを解明する物語として推理小説のように読めてしまいます。専門用語については解説に少し出てくるくらいですので、読んでいてうんざりすることはないと思います。重篤なウイルス疾患というと日本ではあまり身近には感じられないものですが、宿主となる動物と人間の関係の現状などウイルス感染というものを背景から知ることが大切ですので、読みやすくおすすめの一冊です。
著者:山内一也
ふたばらいふ新書 初版:2001年3月