1999年から放映されたNHKスペシャル「世紀を越えて」のシリーズのひとつとして放映された「細菌の逆襲」をピックアップしたもの(残念ながら放送は見ていません)。細菌感染症の今をわかりやすくまとめた一冊です。
「魔法の弾丸」と賞されたペニシリンをはじめ、次々に誕生した「夢の万能薬」。その結果、抗生物質への過信と乱用により出現する耐性菌。復活した細菌感染症の驚異に、今後医療はどのように取り組むべきなのか・・・。
様々な取材によって医療現場や企業事情などの問題が具体的にかつセンセーショナルに提示されており(ここがテレビ的です)、身近な話題として読みやすい一冊です。
また、ポイントを耐性菌の問題に絞っていて表現も比較的易しいことから、前知識がなくても手っ取り早く耐性菌、院内感染症などの問題を勉強することができます。
この番組制作には別に紹介した吉川氏の「細菌の逆襲 ヒトと細菌の生存競争」が参考文献となっていますので、興味を持たれた方はステップアップとして吉川氏の著書をお読みになると良いかと思います。
著者:NHKスペシャル「世紀を越えて」ディレクター宮本英樹
KAWADE夢新書 初版:2000年9月